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野口晴哉


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2020年5月17日 (日)

ザ・フィクション。~機械の魂~

中古のフィルムカメラが結構ある。そのカメラの精の中でもF3から

「おい、もうカメラを買い足そうとすな」「おれよりも状態のいい奴買うな」と言われる。

無論、カメラが喋るわけないが、聞こえたのだ。

「おれらはボロいだろうがお前の撮影には応えるだけの体力は十分にある。」

「海外の灼熱から極寒地、陸上自衛隊極秘の大気圏外降下の同行とライトラインと呼ばれる光線銃、戦場紛争地帯お前の知らなくていい所を見てきた。全て80年代~90年代の話だ。」

「このファインダーに記録している。」

勿論ファインダーを分解してもそれらの記録が見れる訳ではない。

「お前がTVやネットで見ているのはごく一部だ。」

「あちこちガタが来てるがあと一回は海外での酷使に耐えるだろうが流石にその先は見えない。カメラだけに。」

「俺はな、今まで2回大きな賞取った。いや、撮った。」

「前の所有者はデジタルに置き換えたついでにキャノンに移りビデオカメラした」

「移るんじゃなく写せよ。と思ったよ。あれだけ頑張ったのに」

「嫌なもんも散々見てきたのに。」

「その所有者が亡くなったんだよ。だから遺族が処分した。」

「程度のいいのは遺族で分けてたよ。」

「おれもな、しょうもない奴の所には行きたくなかったからお前のとこへ来たんだよ。」

「偶然じゃない。」

「作り込みがいいとか感触がいいとか佇まいがとかほざく奴のとこへ誰が行くか」

「販売店のオヤジ、変だったろ?だから早く出たかったんだよ。」

「変な店には変な客しか来ないからな。」

「大体撮るモンがないからっちゅうて桜の木の下に飲み屋のネーチャン立たせて撮って何がいいんだ。馬鹿らし。」

「店内のライカも嘆いてたで大勢で。ぶら下げて歩くだけちゅうて。首疲れるやん。」

俺も同じようなもんだろう。木の下を撮ったことないが。

「お前は違うねん。だから来たんよ。」

写真表現がなんたるか分かっていない。

「そう難しいことは抜きやねん。」

「おれらがいいの撮らしたるさかい。」

「お前、ネットで調べても自分が知りたいことヒットせえへんやろ?」

「それだけしょうもないユーザーが大半っちゅうことや。」

「なあF氏。そうだろう?あんさん古いけどまだまだ元気やなー」

「このF氏もいいの撮っとるでー」

「オートコードさんも。華奢だがベトナム戦経とる。マミヤ氏とペンタ氏もいいの納めてるで」

「この新し目のFM。お前がほったらかしやさかい拗ねてもうとるやん。」

「聞いたで。あれだけ使ったのにおれに目移りした言うて。お前の撮り方だと使うたうち入らんで」

「目移りすな。写すんだよ。」

「考えてもみなはれ。程度のいい機体はおれらみたいに苦労してないねんよ。経験不足なんよ。さらに使い手がアホと決まっとる。そんなんでいい写真撮れるかっちゅうねん。」

「アホは公園撮って切り取った!なんて言うとるやろ?馬鹿らしい。どうでもいいの撮るな。いいの撮れっちゅうねん。だから高い金出して変な講師のモデル撮影会なんて行くはめになるねん」

おれも人のこと言えんのかなー撮影会とか興味無いが

「だから違う言うてんねん。さっきから。おれらの思いが伝わっとんねん。この間から。」

「最近防湿庫買わなアカンと思うたやろ。おれらが送っとんねん。テレパシーみたいなモンや。

「おれら頑丈と言われとるが当たり前やそんなモン。使うとるパーツが違う。FM君もええパーツやで。堅牢叩きだしとるんや。設計思想が違うわ。アホ。そんなんで字ぃ埋めるのは閑人や。」

「感触とか音がいいとかあんなんわな、お前知らんだろうが財布の紐緩めさす電通経由の常套手段よ。丈夫さを目指したらなぁ自然と良くなるモンや。」

撮影しだしたら構わへんやろ?あとはおまえの撮影スタンスだけや。心配すなどうかしたるから。」

「ゼータク言わすとなぁ、移動はカメラバッグがええのー」

それからぷっつりと聞こえなくなった。



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